こんにちは、コラージュニスト沙織です。
ブログ内で徒然エッセイをできるだけ毎日更新しております!
インスタと併せてどうぞお楽しみください♡
「個性の原石」
金子みすゞの有名な詩の一つに「みんなちがって、みんないい」というフレーズがある。 私はこの詩がとても好きだ。 それぞれが生まれながらに持っている個性を認め合い、喜び合いたいという平和的な願いが込められているからだ。 絵を描いていると、しばしば個性を出すことが求められる。それはきっと絵だけに限らず、多くの人が「自分にしかできない強みは何か」「人より秀でているものは何か」と模索していることだと思う。 実は個性というのは、探したり後付けしたりしようとすればするほど見つからないようにできている。 むしろ子供の頃から当たり前のようにできてしまう何気ないものの中に「個性の原石」は潜んでいて、本人が意図しない時に限ってひょっこり姿を現す。 そのことを教えてくれたのは、初めて開いた貼り絵教室の子どもたちだった。 小学生20人ほどが参加し、画用紙に印刷された小鳥や金魚などの下絵に、色とりどりの千代紙を貼り重ねていくシンプルな教室だ。 子供は先入観なく自由に貼り重ねていく。 最も面白いと思ったのは、作品の仕上がり以上にその制作過程だった。 「どんな風に色を選び」 「紙を切り」 「のりで貼るのか」 その制作過程にこそ個性が滲み出ていると感じた。 普段は落ち着きがないと思っていた男の子が慎重に紙を選んで丁寧に輪郭を取り、優しいグリーンのパステルカラーで描いたり、おっとりして物静かだと思っていた女の子が大胆に紙をちぎって、赤や黒などの力強い原色で描いたりするのには驚かされた。 見本通りにきっちり再現する子や友達同士そっくりに描く子もいて、まだ表面に現れていないさまざまな「個性の原石」を垣間見た。 制作後は子どもたちが自ら、お互いの作品を褒め合う一場面があった。 自分には思いつかない表現をした相手の個性を素直に褒め、それを素直に受け取る彼らの「誇らしげな表情」はとても印象的だった。 うまい下手でも勝ち負けでもない。 「違い」をみんなで素敵だね!と喜び合える関係性が原石を磨くことになる、と私は思う。
■このエッセイは2017年に河北新報「まちかどエッセー」に掲載されたものです
Recommend
- 「運命の人」
- 「ひらめきの波」
- 「香りの記憶」
- 「虹色の通学路」
- 〈色のお話〉黒色が教えてくれるメッセージ
- 〈色のお話〉赤色が教えてくれるメッセージ
- 〈色のお話〉紫色が教えてくれる繊細さんへのメッセージ