こんにちは、コラージュニスト沙織です。
ブログ内で徒然エッセイを日々更新しております!
「願い事の叶え方」
サンタクロースがやってきた。 大きな赤いリボンに包まれたプレゼントが、ツリーの下に置いてある。 三つ上の姉と喜んで包みの袋を開けた。そこには望み通りフワフワした犬のぬいぐるみが入っていて、5歳の私はあふれる嬉しさで、ぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめた。 1ヶ月前、サンタさんに電話をかけておいた。黒電話の「0」にダイヤルを回すとサンタさんの国につながるよ、と母が教えてくれた。はずかしがり屋の姉と交互に欲しいものを伝えたら、あとはクリスマスがやってくるまでワクワクしながら待つのが通例だった。 あれから30年、今では8歳の息子がカレンダーを前に指折りクリスマスを数えている。 欲しいものを書いた紙切れを、白く曇った窓ガラスに貼り付けて、サンタさんに見えるようにアピールしている。 すでに手に入った時の気持ちまで想像して心底ワクワクしているのだから、純粋で微笑ましくなる。 「お利口さんにしていないとサンタさん来ないよ」と私が言うと、 「いや、絶対に来てくれるよ。プレゼントを見つけて、わぁ〜い!って大喜びしている僕を見たら、きっとサンタさんも嬉しくなって、来年もまた来てあげようってニコニコするはずだよ!」と、満面の笑みで言うものだからまいってしまった。 今ではよく分かる。サンタクロースの願いはただ一つ。 「子どもが喜ぶ顔が見たい」 いたずらっ子でも利かん坊でも、プレゼントをもらったときの満開の笑顔には何にも代えがたい輝きがある。 長いひげのおじいちゃんは、その笑顔が見たくていそいそとプレゼントを用意しているのだ。 まったく、子どもは何でも知っている。 「願い事の叶え方」というのは実にシンプルなのかもしれない。 ・心から届くことを信じてオーダーし ・楽しみに待ち ・届いたらあふれる笑顔で喜びを表現する 以上。 サンタクロースは案外近くにいる。 いつでも願いを叶えようと、そばでそっと見守っているのだ。
■このエッセイは2017年に河北新報「まちかどエッセー」に掲載されたものです
-追記-
子どもの頃は誰もが自然と「願い事の叶え方」を知っているのに、どうして大人になると忘れてしまうのだろう。 ・願ってもどうせ叶わない(だから願うことすらしない) ・こんなこと願うなんて贅沢かも(罪悪感、だから我慢する) ・本当に叶うのかなあ(叶わなかったらどうしようと不信感) ・どうやったら早く叶えられるかな(待てずにそわそわ見張る) ・欲しいのはこれじゃない!(受取拒否) etc… サンタさんからしたら全く可愛げのない態度に見えるでしょう^^; 大人になるまでに身につけたあらゆる観念は、時としてサンタさんの存在を見えなくしてしまう。 けれど、何歳になってもサンタクロースはプレゼントを担いで私たちのところへやってきている。 いままでもずっと、これからもずっと。 よ〜く思い返してみれば、あなたの願いはたくさん叶っているはずだよ。 気がついて、受け取って、喜んでくれるのを、長いひげのおじいちゃんは今か今かと待っているのです。
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