コラージュニスト沙織です。
「幸せでありながら孤独を感じてもいいし、孤独を感じながらも今を幸せと呼んでいい」と悟ってから数週間。
昔から一向に消える気配のない孤独感や虚無感について、とんでもない気づきがあった。
というよりも元々知っていたのに既存の観念に囚われて忘れていた自分に気がついた。
本当は何よりも大切な原初の感覚、虚無。
10代の頃から心の奥に棲みついて離れない「虚無の正体」について書かなければならない。
虚無の正体①「幸せと孤独のはざま」
のつづき
「虚無」と呼んでいる独特な闇感覚をはっきり感じるようになったのは高校生の頃。
放課後デッサンを終え、ホッとした気持ちで帰宅路をゆっくり歩いていたら、突如「ブラックホールのような深い穴」が胸からみぞおちにかけてぐわっと広がった。世界から切り離されて一人だけ穴から宇宙に放り込まれたような、言いようのない暗闇に包まれた。しばらく茫然としながらブラックホールを漂っていると、やがて何事もなかったかのようにスーッと胸から消えていった。
それ以来たびたび胸部に現れるようになったブラックホールのことを「虚無」と名付け、密かに観察することにした。
大抵ホッと一息ついたときや一人になったときに現れる。友達と楽しい時間を過ごした後や幸せな感覚を味わった後にもシレッと現れる。このような感覚がほかの人にもあるのか訪ねてみるも「なにそれ〜笑」とからかわれて終わる日々。
幸せに水を差すような「負の感覚」なので早く消えてほしいと思っていたし、なぜこのようなものが私の中に現れるのか全くわからなかった。
こんなものが存在するなんてわたしは何かおかしくなったのかもしれないと心配になり、心理学を学んだり生い立ちを掘り下げたりしてみたもののどうもしっくりこない。
闇感覚である虚無は感情レベルのものではなく、もっと深い領域から発生しているコントロール外の存在だった。
虚無をじっくり観察しながら正体を探るうちに、ある特定の音や色に共鳴していることがわかった。
音はバスドラムなどの「重低音」、色は「深青緑」で、胸からみぞおちにかけての深層部に響き渡る波だ。
幸せを感じると同時にあらわれるところをみると、まるで光と影のようにセットの存在だった。消そうとしても消えることのない存在。幸せと同時発生する陰陽の関係性であると気がついたある日、ふと耳にした音に虚無がこれまでにないほどの共鳴を示した。
ヨガで唱えるマントラのひとつ「オーム」。
この聖音は全ての源、全ての終わり、不滅の存在である宇宙の根源をあらわすといわれる音であり、仏教では真言と呼ばれているもの。
「オーム」の聖音を何度も聞きながら共鳴具合をたしかめるうちに、あんなに嫌だった闇感覚が、やがて胎内に包まれているようなあたたかな感覚になっていった。
虚無の正体は早く消し去るべき闇ではなく、全てのはじまりであり源を思い出すためのバイブレーションだったことを思い出したのだ。
怪しい話になってきたが③へつづく
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