コラージュニスト沙織です。
虚無は幸せと同時発生する陰陽の関係性であると気がついたある日、ふと耳にした音に虚無がこれまでにないほどの共鳴を示した。
ヨガで唱えるマントラのひとつ「オーム」。
全ての源、不滅の存在であり宇宙の根源をあらわすといわれる聖音であり、仏教では真言と呼ばれているもの。
「オーム」を何度も聞きながら共鳴具合をたしかめるうちに、あんなに嫌だった闇感覚がやがて胎内に包まれているようなあたたかな感覚になっていった。
虚無の正体は早く消し去るべき闇ではなく、全てのはじまりであり源を思い出すためのバイブレーションだったことを思い出したのだ。
虚無の正体②「共鳴する音と色」
のつづき
虚無にはどこか、孤独感や郷愁感のような「分離の意識」が含まれている。
ブラックホールが広がりはじめた10〜20代の頃、からだの奥からこんな声が聞こえてきた。
「ここはわたしの居場所じゃない、おうちに帰りたい。」
「ここ」や「おうち」がどこを表しているのか、どこからくる声なのかずっとわからなかった。インナーチャイルドではないかと掘り下げたこともあるけれど、どうやらその類ではないようだった。
(ちなみに別記事にしますがインナーチャイルドは癒さなくていいし、敢えて掘り下げる必要はない)
けれど、すべての根源であるというオームの音を聞くうちに、虚無は産まれるときの胎内記憶に通じており「もといた場所、かえる場所」を思い出させてくれる母胎のような存在であることをじわじわと内側から理解していった。
「この世に生まれること」は可能性に満ちた力強いエネルギーであると同時に、源である母胎のぬくもりから切り離される分離でもある。
だからわたしたちは〝未知なる可能性や希望〟と一緒に〝さみしさを伴う少しの絶望〟をこの胸に抱いて生まれてきた。
その記憶は日々忙しく過ごす中で忘れているようでも深く根付いており、ふとした瞬間に思い出しながら源である小宇宙に還っていたのだ。
何かしら幸せな経験をした後や、達成感のあるがんばりを果たした後、はたまた思い通りにいかない現実に悩み苦しむ時にひょっこり虚無が姿を現すのは、生を受けたこの世でたくさんの経験と喜怒哀楽を体験するための「肉体という器」を育んでくれたあたたかな場所があったことを覚えているから。
生きる喜びを色濃く味わうために存在しているコントラストであると、本当は知っているから。
虚無は消えることのない原初の記憶。
いつもそばにあって回帰させてくれる場所。
創造と誕生と破壊と再生がいっしょくたになった小宇宙。
そこには全てあるが形がない、全てひとつであるがバラバラの集合体、始まりも終わりもあるようでなく、カオスでありながら、如何様にでも創造し破壊することもできるゼロポイント。
虚無に対する理解が深まるにつれ、
…ん〜?この感じ、なんだろう。。。
何かに似ている。。。。
と思ったら、
これは
コラージュの創造過程そのもの。
コラージュをしていると必ず訪れる「カオス」という状態があるのだけど、それが虚無のかんじとよく似ている。形になる前の通過儀礼で、先がみえない混乱状態におちいる現象。ここを越えると一気に形が生まれて完成へと近づくものの、カオスの最中は非常にもどかしい。
これまでにも「コラージュは人生の創造過程と同じ」と書いたことがあるけれど、まさか虚無まで関連づいていたとは我ながらびっくりしている。
長年、虚無の正体を探る中で紐づいてきた答えが、もうすでにコラージュの中に息づいていた。
怪しい話はまだまだ続く④
【関連記事】
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•虚無の正体②「共鳴する音と色」
•「コラージュアートとは」
•「コラージュが教えてくれた境界線と融和のバランス」
•「黒色が教えてくれるメッセージ」
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